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古里で親孝行したい/若手から刺激受け意欲/ブドウ後継者Uターン

2015.12.14

新見市で古里の特産ブドウ「ピオーネ」の生産を守ろうと、後継者たちが農業を継ぎ始めている。その一人である35歳の男性は2年前に東京から実家に戻ってきたばかりです。夫婦で42㌃を担う両親の将来を心配し、サラリーマンからの転職を決意。集落で増えているI・Uターン組の熱意に刺激を受けながら「早く追いつきたい」とやる気を奮い立たせています。

 

父親と一緒にカヤ刈りに汗を流す後継者
父親と一緒にカヤ刈りに汗を流す後継者

東京ではウエブの制作・管理の会社に勤め、深夜遅くまでパソコンの画面と向き合い、終電で帰宅する毎日でした。東日本大震災で電力や食料の流通などが混乱し、便利さとは反対に都会暮らしの脆さを痛感しました。父親が病に倒れたのがきっかけになり「実家にはブドウで生活できる生産基盤が整っているし、両親に何かあった時のことを考えて近くで孝行したい」と覚悟を決めました。

 

後継者といっても農業の経験はほとんどありません。ブドウ作りの作業はもちろん、刈払機を使うことすら初めてでした。今も両親の見よう見まねで基本技術を覚えている最中であり、「両親のレベルまで追いつくにはまだまだ時間がかかる。作業のコツを早く見つけ、畑を任せてもらえるようになりたい」と将来を見据えます。

 

やる気を高めてくれるのが都会暮らしでは味わえなかった爽快な達成感や周囲で頑張る同世代の存在です。東京での生活に比べ「ここでは自然の中で体を動かして汗をかきながら働ける。辛くてもすがすがしさがあり、健康的な生活を送れる」と笑顔をみせます。周りには県外からIターンした新規就農者たちも多く「知らない土地に移住し、家も畑もないところから農業に取り組む姿にふれ本気度を感じる」と気持ちを高ぶらせています。

 男性は「自然と向き合わなければならない農業は、思い通りにいかないことばかり。だからこそ自分の手で作る喜びは大きくありがたく感じる」と語る。父親(67)は「後継者不足で困っている農家が多い中で本当にうれしい。畑で一つずつ経験を積み、体で覚えていってほしい」と期待を寄せます。