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牛が好きだから頑張れる/親元就農で人工授精師に/和牛繁殖後継者

2016.3.23

「牛をむちゃくちゃ好きになった」。ブランド「千屋牛」の産地である新見市で、和牛繁殖農家の後継者として親元で就農した原健嗣さん(22)は、家族のように牛をかわいがっています。日々、牛と向き合ううちに興味が愛情に変わり、昨年の秋には人工授精師の資格取得にこぎつけました。初めての受胎にも成功し、この秋には自分が種付けした子牛の出産を心待ちにします。

大好きな牛と触れ合い、楽しく仕事をしています。
大好きな牛と触れ合い、楽しく仕事をしています。

就農して3年目です。子どもの頃から自宅のすぐ横に牛舎があり、牛は身近な存在でした。経営を継ぐ気はなかったが、「落ち込んでいた時に牛と触れ合うことで自然と心が晴れ、元気になれた」と動物の癒し効果に魅せられ就農しました。

祖父や父からノウハウを教わりながら経営を受け継ぎました。地元のベテラン農家からもアドバイスを受け、人工授精師に挑戦。県酪農大学校に1か月間通い、徹夜で勉強するなど必死に知識を叩き込みました。自分で種付けすることで経験を積み、低コスト安定生産に向けて経営のステップアップを進めたいと先を見据えます。

今は繁殖雌牛13頭と子牛12頭を飼育します。この内1頭は出産直後から手塩に掛けて育てました。人工哺乳をしたり、体の汚れを湯で拭き取ったりして愛情を注ぎ、一昨年は十数年ぶりに共進会への出場を果たしました。祖父や父親が守ってきた繁殖能力の高い系統牛を引き継ぎながら、1年1産を確保するのが目標です。

セリ市で子牛が高値で取引された時の喜びは格別といいます。1頭当たり平均70万円を下らない好調な市況が続いており、肥育農家のニーズに合わせた経済価値の高い子牛の生産に向けて意欲をかき立てます。父親が主体で営む水稲約8㌶との耕畜連携に取り組み、粗飼料のわらやサイロは全量を自給。子牛が下痢をすることが少なくなり、増体効果にも感触をつかみました。

原さんは「経験豊かなベテラン農家に揉まれ未熟さを痛感する毎日だが、大好きな牛がいるから前向きに頑張れる。周囲から信頼される農家になり、優良な牛の生産や育成を通じて千屋牛のブランド力の向上に貢献できればうれしい」と笑顔で話します。

繁殖牛に適度な運動をさせることでストレスを減らし 受胎率の向上に努めています。
繁殖牛に適度な運動をさせることでストレスを減らし
受胎率の向上に努めています。