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新見の自然、人の温もり実感/幸せ求めブドウ就農

2016.9.14

ベテラン農家の藤野幸一さんに教わり、ピオーネの収穫作業に汗を流す研修生の長濱さん
ベテラン農家の藤野幸一さんに教わり、ピオーネの収穫作業に汗を流す研修生の長濱さん(左)

「田舎で季節感や人の温もりを感じながら心豊かな暮らしをしたい」。昨年の秋、家族4人で東京から新見市へ移り住んだ長濱健一さん(40)は、ブドウの新規就農を目指す研修生の一人です。JAぶどう部会のベテラン農家・藤野幸一さん(64)の元で作業に汗を流し、栽培技術やノウハウの習得に励んでいます。集落からも歓迎を受け、少しずつですが、田舎の生活にも慣れてきました。

長濱さんは、システムエンジニアとして東京の会社に勤め、夜遅くまでパソコンと向き合う日々に追われました。わが子と過ごせる時間はほとんどなく、「本当に幸せな暮らしとは何か」と考えるようになりました。都会の喧騒を離れ、静かな自然の中で自分のペースで働ける新たな生活スタイルを求めました。

新見市との出会いは、就農相談会「農業人フェア」でした。市職員の熱心さに加え、定住や就農に向けたサポート体制や制度が充実していることが決め手になりました。新規就農率は100㌫で、既に19組の先輩農家が活躍していることも心強く感じたといいます。

集落の住民も歓迎してくれました。空き家や農地の確保など手厚い支えを受け、春にはピオーネ12本の新植にこぎつけました。長濱さんは「子どもは地元の小学校で友達もでき、言葉にも慣れてきた。近所からは野菜のおすそわけや行事への誘いを受けるなど本当に親切にしてくれる」と人の温もりに感謝します。

今の目標は2年間の研修で基本作業を覚え、3年先に専業農家として妻と一緒に自立することです。細かい作業でも手を抜かず確実にスピーディーにこなす藤野さんを手本にします。夫妻は「農業は暑くても雨でも畑で作業しなければならない。自然を相手にする厳しさはあるが、作物の成長に触れながら人間味あふれる幸せな生き方を見つけたい」と心を躍らせます。

藤野さんは「住民が増えることは高齢化の地域にとってもありがたい。将来は8桁農業を実現し、地域の主力として活躍してほしい」と期待を寄せます。