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和牛繁殖を仕事に/家族で牧場を営みたい

2016.11.15

(有)哲多和牛牧場で繁殖経営を任されている木村俊哉さん(33)は、産地が高齢化する中で若手の牛飼いとして期待がかかっています。県外の非農家出身ですが、畜産を仕事に選び、国内最古の蔓牛(優良系統牛群)の産地である新見市で技術をたたき込みました。13年目を迎え、繁殖牛を300頭近くまで増やすなど生産拡大をけん引。受精卵移植やエコフィード(食品残さ飼料)を活用しながら和牛の改良に力を注ぎます。

子牛の哺育に励む木村さん
子牛の哺育に励む木村さん

実家は京都市内で呉服店を営みます。家畜の血統について学びたいと考え、中国四国酪農大学校に進学。和牛に興味がわき、ブランド「千屋牛」の繁殖肥育一貫生産を手掛ける同牧場に就職しました。

 

人工授精師の資格を取り、1年目から繁殖牧場に配属。繁殖牛の飼養管理や子牛の哺育などに汗を流し、地域のベテラン農家から学びながら優良牛の安定生産に経験と実績を重ねてきました。今では繁殖牛舎3棟と子牛の哺育施設、約30㌶の周年放牧の管理を任される一牧場長です。

 

種付けや交配は全て自らが手掛け、2013年には育成牛が県グランドチャンピオンに輝きました。その改良技術は関係者やベテランからも一目置かれ、長崎全共ではメンバーとして出場を果たしました。木村さんは「全国から名牛が一堂に集まる場に立たせてもらい光栄。他産地との違いを経験でき、新見市の和牛改良に貢献したいとの思いが強まった」と志を抱きます。

 

生産拡大の有効な手段の一つとして取り組むのが受精卵移植です。高能力牛の受精卵を採取し、別の雌牛の胎内に移植して受胎。同じ両親を持った子牛を同時に生産し、改良を急ぎます。生後1か月間は哺育を強化し、通常の1・5倍の量のミルクを飲ませて増体につなげています。

 

昨年からは妊娠した母牛に菌床キノコ栽培で生じる廃棄物をおからと混ぜて餌として与えています。子牛の免疫力が高まり、分娩時の病気などによる事故率を大幅に減らしました。1年1産を目標に優良な後継牛の育成を進め、来年開催の宮城全共に向け候補牛の生産も手掛けました。

 

木村さんは「千屋牛肉の素となる子牛の生産を担っていることに誇りと責任を感じる。生産量が増えブランド力が高まれば後継者が育つはず」と展望。将来は家族で牧場を経営する夢を描きます。