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千屋牛の伝統を次代へ/調教や文化価値を伝授/新見市和牛改良組合

2018.11.27

国内最古の蔓牛(優良系統牛)千屋牛の産地を守る新見市和牛改良組合は、和牛を飼い慣らすための伝統的な調教技術を後世に残す活動を始めました。農耕牛に使っていた時代から培う歴史的、文化的な価値を継承するだけでなく、優良牛育成のために欠かせない地域固有の技術を若手農家らに伝授します。11月17日には繁殖農家をはじめ後継者や高校生ら60人が実習しました。

ベテラン農家に調教技術を習う生徒

 

新見市は、江戸時代から170年以上の歴史を刻む日本三大蔓牛の産地です。調教技術は、体格がよく足腰が丈夫で資質品位に優れた系統牛の特性を生かし、狭い棚田やあぜ道を歩かせながら編み出しました。今でも飼養管理をしやすくしたり、共進会で姿勢よく立たせたりする際に求められ、県外からも指導や研修受け入れの依頼が入るなど全国に誇る技術として息づきます。

ただ、農家の高齢化とともに技術を保存・継承するのが課題でした。そこで、歴史を裏付ける産地の技術を途絶えることなく伝えていこうと、JA阿新や新見市と協力して初めて講習会の開催にこぎつけました。江田英明組合長は「調教や削蹄の技術を次代につないでいくことは、千屋牛を生産する農家の使命だ。ベテランから習い、日々、牛と一緒に経験を積んでほしい」と呼び掛けました。

講習会では、同組合で68年の熟練を重ねる宮本弘さんら3人が講師を務めました。和牛3頭を追い出し、手綱の引き方や掛け声などのコツを指南。前進(しーしー)、後退(あと)、静止(ばー)、左回り(あせ)といった基本動作を繰り返し訓練しました。宮本さんは「技術を習得する後継者が産地から一人でも育ってほしい」と強く望みます。