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集落で水田放牧/千屋牛の増頭めざす/潮営農組合(上熊谷)

2015.7.6

新見市上熊谷の農業生産法人・潮(うしお)営農組合(農家7戸)が和牛の水田放牧に乗り出しました。経営所得安定対策や市独自の交付金を活用し、水稲と和牛繁殖を複合で営みます。集落営農組織では県内初の試みで、耕作放棄地の解消だけでなく、和牛繁殖の省力化や低コスト化にもつなげ、ブランド「千屋牛」の増頭を目指します。

水田に放し飼いしている和牛(新見市上熊谷)
水田に放し飼いしている和牛(新見市上熊谷)

 組合が取り組む放牧は、雑草が茂った耕作放棄地や飼料作物を作付ける水田に繁殖用雌牛を放し飼いにし、子牛を産ませて販売する仕組みです。県畜産班や新見農業普及指導センター、市、JAなどの協力を受け、昨年の冬から先進地の視察などで検討を重ね準備を進めました。水田1・2㌶を牧場や餌場に利用し、電気牧柵や簡易なつなぎ場、水飲み場などを設け、6月17日に雌牛2頭を放しました。JAの農畜産部は「高齢化している畜産農家の持続的な生産と稲作農家の所得向上につながる」と期待を寄せます。

 組合に属する畜産農家によれば、水田放牧によって飼料コストを4分の1に減らせ、日に1回ほど牛の餌やりと観察に行くだけでよくなったといいます。生い茂っていた雑草を牛が食むことで景観がよくなり、イノシシによる被害もなくなりました。組合員で畜産農家の船越晶さん(80)は「いつまで牛を飼えるか不安を感じていたが、放牧なら高齢者や女性、会社勤めをしている農家でも牛の世話ができる。緑に囲まれた山間の澄んだ空気や山から湧き出るきれいな水などにも恵まれ、牛の色つやや健康状態も良好だ」と手応えをみせます。

 この夏には雌牛を3頭に増やす計画で、組合は水田放牧1㌶当たり年間約70万円の交付金に加え、産まれた子牛の販売代金などの収入も見込みます。牛の見回りには報酬を支払い、集落内の若者や女性の参加も促します。池上弘幸理事は「放牧を通じて組合員の家族を含む全員参加で地域を守っていく意識を高め、将来にわたって耕作放棄地の防止と千屋牛の増頭に向けた取り組みを進めたい」と展望します。